精神分析ってなに?

心理療法

精神分析とはジークムント・フロイトがこれまで治せなかった心の病を治そうと考え出した方法です。心の中に無意識の領域があることを発見し、無意識の影響から精神症状が出ていると考えたのです。

無意識ですから、意識することはできません。無意識の領域にアプローチする方法として試行錯誤の末生まれたのが、自由連想法です。これは、心の中に思い浮かぶことをなんでも言葉にして表現するという方法で、少しずつ無意識への扉を開いていきます。これまで感じていなかった心の奥深くの声を聴くことができるようになっていきます。

やることはいたってシンプル ”思いついたことを話すだけ”です。

カウンセラーは様々な分析技法を駆使しますが、被分析者(分析を受けている方)は思い浮かぶことをただ自由に話せばいいのです。やってみるとこの自由に何でも、というのが意外に難しいと感じるでしょう。

人は大抵の場合、言葉に出す前に選択しています。これは言ってもいいかなとか、この人ならこういう風に言おうかなとか、色々なことを考えながら会話をしています。それを全部取っ払ってなんでもそのままと言われると、最初はなかなかできません。この思いが意識のレベルから無意識のレベルまであるのですから、実際に言葉にした気持ちは、氷山の一角にすぎないというわけです。

無意識

 カウンセラーは「解釈」を行い、気づきを促します。「解釈」とは、被分析者の意識~無意識の影響だと考えられる行動、感情、これまでのパターンなどを理解し、被分析者にそれを伝えることです。これにより、今まで見えにくかった本当の気持ちが、自分でもわかるようになっていきます。

そもそもなぜ無意識なんてものがあるのでしょうか

人はすべての情報を意識で処理することはできません。それは、気持ちだけではなく、日常生活のあらゆることは意識だけで処理できません。そんなことをしていたら、情報量が多すぎて日常生活が回っていかないからです。ある程度頭の中で自動化し、選択し、必要なものだけを意識に上らせて行動しています。

例えば、自転車に乗るときに、足や手の動きをいちいち考えていたらふらふらして転んでしまいそうですよね。

でも、久しぶりに乗ろうとすると、どうだったっけ?と考えることもあると思います。この時、「自転車の乗り方」が意識に上ってきているのです。(ちょっと意識すれば思いだせるような領域は、「前意識」と呼ばれます。意識と無意識の中間領域です。)

その自動化や選択が適切なものでなかったらどうなるでしょうか。
 なぜかうまくいかない、なぜかストレスがたまる、なぜか涙が出る・・・・。
 自分でも気づかないうちに、心がどんどん重くなっていきます。

精神分析では自由連想法をとおして、普段は感じることのない無意識の領域にある思いに焦点を当てていきます。

精神分析って、どのくらいの頻度で何回やればいいの?

フロイトの時代は週6回、現在でも正式な方法は寝椅子を使い、週4回以上分析を行います。多くの方にとって、週4回以上というのはなかなか難しいため、現実的には週1回の分析を、寝椅子ではなく、ソファに座って行うことが多くなっています(当センターでも原則週1回ソファで行っております。)

週4日以上の分析を精神分析療法、週3回以下の分析は、それとは区別し、精神分析的精神療法、あるいは精神分析的心理療法などと言ったりします。

分析では、カウンセラーと被分析者のお互いの無意識領域の交流も活発に行われています。もちろん言葉にならない領域ですので、目で見ることも証明することもできませんが、深い交流をなんとなく感じられるようになっていきます。頻度が多いと、それだけ分析が深まりやすく、進展も早いと言われています。

安心して何でも自由に言えるようになると、これまで抱えていた思い、抑えていた感情、忘れていた出来事、無意識の領域に塊のようにあったものが、意識の方に浮かび上がってきます。

辛い記憶を無理に思いだす必要はありません。心に浮かんだ言葉をそのまま表現すればよいのです。嫌なことを急に思い出し、気持ちが落ち込んでしまうこともあります。話したくないと感じたとしても、その気持ちをそのままカウンセラーに話せるようになると、さらに分析は進展していきます。

そのうち、ふと「あーそういうことだったのか」と感じ取ることができ、恐れていた何かは、それほど怖いものではなかったと、受け入れていくことができていきます。

そういったことを少しずつ繰り返すうちに、自己理解が進んでいきます。

さらっと書きましたが、ここまでたどり着くのに、一般的には数年かかると言われています。個人差が大きく、何回やれば終わるという決められた期間はありません。ですが、すでに何年も精神的に辛い思いをしていらっしゃる方や、自分の内面を深く知りたいと思われる方は、是非一度試してみるとよいのではないかと思います。

どんなに本を読んでもアドバイスを聞いても、辛い気持ちが変わらなかったとしたら、自分が感じている以上に無意識に抱え込んでいる思いがあるのではないでしょうか。精神分析を通して、その知識が自分でも心底そうだなあと感じられたとき、初めて心が軽くなるのかもしれません。

※この記事では、精神分析をわかりやすくお伝えするため、脳の情報処理機能と組み合わせて説明しております。ご意見・ご指摘等ございましたら、お問い合わせフォームからコメントを宜しくお願いします。

トップページへ戻る