認知行動療法について

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心理療法

認知行動療法とは認知(ものの受け取り方や考え方)や行動に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一つです。

私たちはいろいろな場面でストレスを受けています。誰でもストレスにさらされるとものごとを否定的・悲観的にとらえやすくなり、認知の歪みが生じてきます。ものごとを否定的・悲観的にとらえ続けていると、気分はどんどん落ち込んでいき(気分)、何もしたくなくなる(行動)など、気分にも行動にも変化があらわれます。もしかしたら頭痛や腹痛(身体症状)などが現れることもあるかもしれません。

認知行動療法では、自分の認知(考え方やとらえ方)・行動が気分や身体症状にどのような影響を与えているかに着目して、症状や気分が少しでも楽になるよう試みます。一度にたくさんのことに取り組む必要はありません。自分のできるところから少しずつ考え方や行動の幅を広げていくとバランスの取れた考え方ができるようになり、行動や気分、症状に良い変化がみられるようになるため、うつ病、パニック障害、社交不安性障害などに効果があると言われています。

自分の考え方や行動をポジティブに変えようとするのではなく、まずは自分の考え方や行動のクセに気づき、ものごとを柔軟にとらえられるようにしていきます。

では実際どのようなことをやっていくのでしょう。

自動思考

自動思考とは、何かのできごとがあったときに瞬間的に頭に浮かんでくる考えやイメージのことです。

例えば「あなたが外出先で知り合いとすれ違いました。あなたは相手に気づいて頭を軽く下げたのですが、相手はそのまま通り過ぎてしまいました。」

あなたの頭にはどのようなことが浮かびますか?

  • 「無視するなんて失礼な人だな!」
  • 「もしかして嫌われているのかな?」
  • 「何か悪いことをしたかな」

このような、パッと頭に浮かぶ考えのことを自動思考といいます。

もし①のように「失礼な人だな」と考えたら、「怒り」の感情が出てくるのではないでしょうか。②では「悲しみ」、③では「不安」の感情が出てくるのかもしれません。

同じできごとに出会っても、その人ができごとをどのように受け止めるかという認知によって気分が変わります。あまりに極端で否定的・悲観的なとらえ方を「認知の歪み」といいます。

☆自動思考にはその人の考え方のクセがあらわれやすいので、認知行動療法では自動思考に気づけるように練習していきます。

認知モデル

認知行動療法は認知モデルを利用して自分自身に起きているできごとを考えていきます

認知行動療法では、認知モデルのワークシートに自分の問題を書きながら、自分ができごとをどのようにとらえ(思考)、そのことが気分や行動、症状にそれぞれどのように影響しているかを考えます。

はじめのうちはカウンセラーと一緒に問題に取り組みますが、少しずつ自分自身で問題解決ができるようになることを目指します。

認知モデル

考え方のクセを知ろう

否定的な自動思考には、いろいろな特徴があります。自動思考に気づけるようになったら、自分の自動思考のクセについて考えてみます。

否定的な認知は、「自分に対して」「周囲に対して」「将来に対して」おこりやすいと言われています。

1 思い込み 根拠が不十分なのに自分の考えが正しいと決めつけてしまう傾向。
2 白黒思考 あいまいな状態が受け入れられず、ものごとを白か黒、良いか悪いかという極端な考え方をする傾向。
3 べき思考 「こうすべきだ」と考えすぎ、必要以上に自分にプレッシャーをかけてしまう傾向。
4 自己批判 よくないことがあると、なんでも自分のせいだと考えて自分を責めてしまう傾向。
5 深読み 相手の気持ちを一方的に推測して、そうに違いないと決めつけてしまう傾向。
6 先読み 自分で悲観的な予測をたててしまうことで、自分の行動を制限してしまう傾向。

どの考え方も間違っているわけでも、ダメなわけでもありません。

でももし、その考え方が極端になりすぎて自分自身が苦しくなってしまっていることに気づいたら、すこし考え方を見直してみましょう。

認知行動療法にはいろいろな技法があり、自分の行動を見直し活性化させる「行動活性化」、リラックスをうながす「呼吸法」「筋弛緩法」「自律訓練」などを行うこともあります。

認知行動療法をお勧めしたい方

人とかかわることに苦手さを感じている方は、たくさんいると思います。
「なくて、七癖」という言葉があるように、誰にでもクセは必ずあります。人かかわるときにも考え方や行動のクセ(パターン)のようなものがあるのですが、なかなか自分では気づくことが難しい場合が多いです。

また、相手にどう思われるか気にするあまり嫌なことを我慢してしまい、嫌だという感情が分からなくなってしまっていることもあります。

気分がもやもやしたり、落ち込んだりすることに対人関係が影響していることは思っているよりたくさんあると思います。そのまま我慢を続けると、寝られなくなったり(睡眠障害)、気分の落ち込みが続いたり(うつ状態)、いろいろなことが気になり落ち着かなくなってしまったり(不安性障害)などの疾病につながってしまうこともあります。

カウンセリングでは、自分の考え方、行動のパターンを見直し、感情に気づけるように、カウンセラーと一緒に考えていきます。

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