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LCSA 言語コミュニケーションの検査

色鉛筆と色鉛筆で書いた平仮名

心理検査

LCSA(LC scale of School-Age children)という検査があります。

あまり広く知られているわけではありませんが、子どもたちの学習面での困難さに対し、支援の方向性を示すことができるため、当センターでは必要に応じて実施しています。

どんな時に使われる検査?

言語やコミュニケーションの面で困難を抱えている子どもたちに、言語の中でもどんなことが上手くいかないのかをより詳細に具体的に調べるために実施する検査です。

小学1年生から本格的に学校教育が始まり、これまでは気づかなかった学習面での困難さが、徐々に明らかになることがあります。

小学校入学というのは、これまでの生活が大きく変わり、子どもも保護者もその変化に対応することが大変な時期です。様々な園やご家庭で様々な体験をしてきた子どもたちが、一斉に同じ授業を受けるようになります。最初は歩幅を合わせることが難しい子も、通っているうちに徐々に慣れていき、身体も心もさらに成長していきます。

小学校の授業を受け始めると、これまで気づかれなかった学習面の困難さが浮き彫りになることがあります。入学前から心配していたことが、はっきりしてくるという場合もあるかもしれません。

もっと小さな頃から困っている場合は、乳幼児健診等を通じて療育につながり、早い段階から支援を受け始めることもありますが、いわゆるグレーゾーンのお子さんは、早期の支援にはつながりにくい現状があります。

  • 他の子と同じようにできそうなのにできない
  • この教科だけ理解できない
  • 学校の先生や保護者の方が様々なアプローチを試みても、成果に結びつかない

など、本人も周りも途方に暮れてしまいます。

子ども自身も一生懸命頑張っても成果に結びつかないず、場合によっては怒られたり叱られたり。そんな経験を繰り返すうちに徐々にやる気が無くなり、

  • 勉強が嫌いになる
  • 自信が持てなくなり、学校に行きたくなくなる
  • 友達とは遊びたいけれど授業はつらい

そんな風になってしまうこともあります。

その要因の一つに、言語発達やコミュニケーション能力が影響している場合があります。

まずは知的能力のバランスを検査します

知的能力はいくつかの種類に分けることができます。どの教科もだいたい同じくらいできる子もいれば、教科によって大きく違う子もいます。大きく違う場合の要因の一つに、能力ごとの得意、不得意が影響している可能性があります。能力の差が大きいと、なんか上手くいかないけど、本人も周りもそれがなぜだかよくわからないということが起こりやすくなります。

そういう可能性があるお子さんは、まずは知的能力を全体的に調べられる知能検査を実施します。よく使われる知能検査としてWISC(ウィスク)という検査があります。

WISC検査は医療機関や教育機関、主に小児科や子どもを診ている精神科などで実施することができます(当センターでも実施しておりますが、医療機関や公的な機関では保険診療等で実施できる場合があります)。

WISC検査では能力を5つ(WISC-Ⅴの場合)に分けており、その中の一つに言語の能力を示す「言語理解VCI」があります。他の4つの能力と比べ、言語の能力がどの程度なのかを数値で客観的に知ることができます。

この検査のみでも十分色々な情報を得ることができ、支援につなげることはできますが、具体的な支援につなげるには、もう少し詳細な検査が必要になることがあります。

前置きが長くなりましたが、そんなときに活用される検査の一つがLCSAです。

当センターにご相談にいらっしゃる方で、他の専門機関で知能検査をして結果を聞いたが、結局どうしたらいいかわからないとご相談される方が結構いらっしゃいます。

検査者の説明不足ということも、もちろんありますが、それ以外の要因として、WISC検査では、具体的な支援方法まではっきりさせることができないこともあるため、もう少し追加で検査した方がよい場合もあるのです。

言語に苦手さがあるお子さんに対し、言語能力が他に比べて低い、という結果が出たとしても、ではどうしたらいいのかという具体的な支援を提案することが難しい場合があります。また、WISC検査の数値では言語能力に問題はみられないのに、日常生活では言葉のつまずきがあるという場合もあります。

LCSAは言語領域のスキルを10種類に分け、どこに困難さを抱えているのかをより詳細に明らかにすることができます。

LCSAの5つの領域10のスキル

LCSAは言語に関連する能力を5つの領域に分け、さらに10のスキルに分けてそれぞれ評価します。

文や文章の聴覚的理解

  • 口頭指示の理解
  • 聞き取りによる文脈の理解

語彙や定型句の知識

  • 語彙知識
  • 慣用句・心的語彙

発話表現

  • 文表現
  • 対人文脈

柔軟性

  • 関連語の想起、推論

リテラシー

  • 音読
  • 文章の読解
  • 音韻意識

これらの10のスキルのうち、どのスキルが得意で、どのスキルが苦手なのかということを数値化します。

口頭の指示が理解しにくいのか、伝えたいことを表現することに苦手さがあるのか、読み書きに必要な音の意識に苦手があるのか、心情を表す言葉の知識が不足しているのか、など様々な言語のスキルを客観的に評価し、それに基づいて支援を検討していきます。実際の様子を見ている保護者や先生方にとって、そういわれてみればと感じるところもあれば、そういう風には思っていなかったと感じる部分もあるかもしれません。

もちろん、検査は当日の本人の体調や意欲、相性などにより誤差がありますので、この検査をしたからと言って本人の抱えている問題が必ず解決するということではありません。しかし、客観的なデータを得ることで、より効果的な支援を考えるヒントにすることができます。

対象となる年齢と所要時間

小学1年生から4年生までを対象としています。

実施時間は個人差がありますが1時間弱ほどです。

小学5年生以上でも実施できないことはありませんが、4年生の標準化データを参照して算出しますので暫定的なものになります。

知的に大きな遅れがないお子様を想定している検査になりますので、知的発達に遅れがみられる場合は、LC-Rという0~6 歳を対象にした言語コミュニケーション発達の検査の方がよい場合があります。

当センターでの実施をご希望される場合は

LCSAはWISC検査のデータと比較することでより具体的な言語発達の支援につなげることができるため、まずはWISC検査を受けていただくことをお勧めしております。

当センターでLCSA検査の実施をご希望の場合は、当センターでWISCを実施するか、もしくは数か月以内に実施したWISC検査がございましたらそちらをお持ちください。
※WISC検査の“下位検査の評価点”が必要になります。詳しくは実施機関でご相談ください。

まずは、初回カウンセリングにお越しいただき、お子様のお困り事をお伺いします。その後、WISC検査→LCSA検査実施という流れになります。その他にも検査はございますので、初回カウンセリングの際またはWISC検査結果に基づいて、別の検査をご提案する場合もございます。

ご興味がございましたら、検査担当者の初回カウンセリングの日程をご案内致しますので、問い合わせフォームまたはメールでご連絡ください。

当センターでは検査だけでなく、育児全般の相談も行っております。どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。

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