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働く人のメンタルヘルスケア(セルフケア)

コラム

こんにちは。この4月から毎週金曜の13~20時に担当させて頂くことになりました、カウンセラーの奥村哲朗と申します。今回は私の自己紹介を兼ねて、今まで主に携わってきた働く人のメンタルヘルスケア、特にセルフケアにつきまして、コラムを書かせて頂きます。

五月病

5月は昔から「五月病」と言われるように、新年度からの環境変化による影響が身体や心に現れやすい時期と言われています。その中で、「セルフケア」、すなわち自分のストレスに早めに気づき対処する、そして必要に応じて適切なところに相談することは、心身共に健康に働いていくうえで重要です。

まず、「ストレスに気づく」についてですが、ストレスのサイン(ストレス反応)としては、

心のサイン

気分の落ち込み、不安、やる気が出ない、イライラなど

身体のサイン

体の痛み(頭痛、腹痛、肩こり)、呼吸が早くなる、動悸・胸が苦しくなるなど

行動のサイン

不眠、食欲低下、お酒の量が増える、外出がおっくうになる、浪費が増える、運転が乱暴になる、趣味が手につかないなど

の3つに分けて振り返ってみると分かりやすいです。また、そのようなサインのきっかけとなったと思われる原因(ストレス要因:仕事の量や内容、人間関係の変化、プライベートでの環境変化など)を考えることも、次の対処につながりやすくなります。

下の図は、ひとの身体や心をボールに例えて、ストレスについて説明した図です。「ストレス」という言葉を使う場合は、それが原因(ストレス要因)を指しているのか、それとも結果(ストレス反応)を指しているのか、意識してみることも大切です。

また、同じストレス要因にさらされた場合でも、人によって反応が異なってきますので、自身のストレス反応の出やすい側面に注意したり、ストレス耐性を高めてストレスにしなやかに対処する方法を考えていくことも大切になってきます。

ストレスへの対処(コーピング)

次に、「ストレスへの対処(コーピング)」としては、ストレス反応を低減させる「情動焦点型コーピング」と、ストレス要因(外部環境や自分自身の内部の問題)を低減させる「問題焦点型コーピング」を組み合わせていくことが大切です。

情動焦点型コーピングは、「3つのR」と覚えておくと、意識して日常生活に取り入れやすいです。

Rest:休息

睡眠時間の確保、規則正しい食事や生活、こまめな休息…

  ⇒自己治癒力やストレス耐性を高める

Relax:リラックス

リラクセーション法、ストレッチ、ヨガや瞑想、軽い運動、入浴、アロマ、自然や動植物とのふれあい、団らん、音楽鑑賞…

  ⇒自律神経のバランスを整える

Recreation:レクリエーション

旅行、スポーツ、アウトドア、芸術、ゲーム、創作…

  ⇒ストレスを忘れるくらい没頭する

主な問題解決型コーピングには、以下の3つが挙げられます。

問題の所在・原因の明確化

・個人・集団・社会…、過去・現在・未来…など、様々な次元で問題を捉え直してみる

・状況の全体像を俯瞰してみる(最近の例では、野球の大谷選手のマンダラチャート(目標達成シート)が有名です)

・相手の気持ちや状況を考えてみる

・自分の物事の受け止め方、考え方のクセに気づく

情報収集

・インターネット等で検索をする

・経験者に聞く

・現地に赴く

解決策の考案やその実行

・相手に自分の気持ちや要望を伝える

・目標を立てる、計画を立てる

・物事の見方や考え方を変える

メンタルヘルスの「4つのケア」

最後に、「相談する」についてです。下の図は職場におけるメンタルヘルス対策の全体像を表したものです。職場では、以下の「4つのケア」を組み合わせて、総合的にメンタルヘルス対策を進めていくことが国によって勧められています。

ストレス状況に気づいたら、自身で対処することも大切ですが、ストレス要因やストレス反応の内容によっては、上司等に相談する「ラインによるケア」、会社内の専門家(産業医・保健師など)や担当部署(人事総務・安全衛生スタッフなど)に相談する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、医療機関や社外相談窓口など社外の専門機関に相談する「事業場外資源によるケア」、を考えていくことも大切になります。

会社の内外にどのような相談先や頼れる人がいるのか、振り返って考えてみると、意外な解決の糸口が見つかる場合もあります。

 私も、「事業場外資源」の1つとして、これから皆さまからの様々な相談や苦悩に寄り添い、力になっていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(文:奥村哲朗)

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